日本株運用者の視点

医療等IDのもたらす恩恵とは

2018年10月10日

佐藤 円香

佐藤 円香

日本株式 セクターアナリスト

ここ数年、今まで治療選択肢が存在しなかった希少疾患の治療薬が次々と出現しました。嬉しいことに、今後10年は更にその動きが加速しそうです。アナリストとして使う時間も希少病や癌の治療薬の調査が多くを占めるようになりました。ただ、これらは高価な薬剤であることが多いのです。労働人口の減少が避けられない中、医療費上昇を抑制することの重要性は高まっています。

本コラムでは、私たちにとって身近な制度の変更がもたらしてくれる医療費抑制についてお話したいと思います。健康保険証についてです。現行では世帯ごとに保険証番号が割り振られています。20年春からは世帯から個人に単位が変更され、桁数が増えた新しい識別番号(いまのところ「医療等ID」という仮称がついています)を付与した保険証が発行されます。今までは同一世帯内の被扶養者としてまとめて認識されていた情報も個人ごとの情報管理がなされることとなり、生涯データが継承されます。

この制度変更で私たちが享受できるメリットは何でしょう。健診の結果、カルテの記載情報などの履歴が医療等IDに紐づけられます。医療従事者はそれらを瞬時にして閲覧できるようになります。例えば、緊急搬送された意識不明の患者の治療方針がより迅速に決定されることになるでしょう。あるいは、転院するたびに改めて最初から検査をやり直す必要がなくなります。さらには、多くの診療科で同時並行に受診することで健康を害してしまうほどの多剤投与を受ける症例を防ぐことも可能でしょう。このように、医療データの一元化によってさまざまな形で健康の増進と医療費上昇抑制の効果が同時に期待できるわけです。

画期的な新薬がでてもそれを賄うことができなくては医療水準の向上は望めません。医療業界を担当するアナリストとしては、今まで以上にムダを無くすための施策に注目していきたいと思います。

 

  本コラムでは日本株式運用チームのファンドマネジャーやアナリストが毎月入れ替わりで、市場や業界での注目点、気になった話題などをご紹介します。

 

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