日本株運用者の視点

目に見えない競争力の源泉

2018年02月09日

河内 洋和

河内 洋和

日本株式 ファンドマネジャー

収益性が高く、高成長が見込まれる魅力的な事業分野には多くの企業が参入を試みてきます。巨大な資金力をもつ世界的な企業はもちろんのこと、コスト優位性のある新興国企業の台頭も顕著です。テクノロジーの進化により競争環境や産業構造が短期間で大きく変わってしまう事例も起き始めています。技術優位性や優れたビジネスモデルだけをみて持続的な成長を期待しての長期スタンスで投資することは難しくなっています。

目に見えない資産が生む競争力の源泉、さらには企業文化や理念といった根幹の部分が、如何に利益成長そして企業価値向上につながっていくのかを理解することの重要性が増しているように感じます。

例えば、インターネットを基盤にヘルスケア分野で高収益・高成長を続けている会社があります。この会社の真の強みは単に革新的なビジネスモデルにあるのではなく、徹底的な可視化と効率化を追求する企業文化のもとで構築されたコンサルティング営業力が高収益かつ他社の追随が困難な事業基盤を確立しています。こうした点に注目してみると、主力事業での持続的成長に留まらず、周辺領域や海外での事業展開による収益貢献への確信度が高まります。

ある機械メーカーでは、創業来の技術を背景に高度化する最先端の生産ソリューションを提供することで、既存事業では独占的地位を確立し、さらに事業領域を拡大させて景気循環サイクル毎に成長を実現しています。この会社の競争優位性の源泉は、社員がゲームを楽しむように業務改善に取り組む企業文化、これを生み出しているマネジメントの仕組み・経営理念にあると理解しています。メソッド・チェンジと呼ばれる改善策が継続的に生み出されて、会社が進化し続けたことが圧倒的な競争力格差に繋がっているのです。

このように持続的な成長を遂げている企業の競争力の源泉には、生産設備や研究開発費のように財務諸表に記載されることのない要素が多くあります。目に見えない優位性は模倣するのが困難で、競合他社との決定的な差別化要因になります。

企業の真の競争優位性を理解することで、仮に業績が一時的に停滞している場合には、むしろ長期の視点からは投資機会として捉えることができるようになります。企業にとっても、競争力の源泉となる目に見えない資産をしっかりと活用し、それを磨いて企業価値向上につなげていくことの重要性は今後さらに高まっていくと考えます。

 

  本コラムでは日本株式運用チームのファンドマネジャーやアナリストが毎月入れ替わりで、市場や業界での注目点、気になった話題などをご紹介します。

 

 

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